小脳石灰症 統合失調症の鍼灸治験例

治験例

○川○子(女) 大正9年生まれ(75歳)

初診1995・12・12(火)

主訴、手がしびれる、足が思うようにスムーズに動かない。(小脳石灰症)

(お嫁さんに担がれて引きずられるようにして来院。話を良く聞くと、

小脳に石灰が付着しており、病院では手の施しようがない、とのこと。

一年ぐらいで寝たきりになるから、そうなったら病院に連れて来なさい、

と言われた、とのことでした。

この患者さんは娘の頃、リュウマチに罹ったがお灸で完治した経験が

あった。これはもうお灸しかない、ということで来院したのであった。)

診断、五蔵全部に反応があり、本人の希望も有り、お灸での治療を行なう。

治療、肺兪、肩井、膏肓、膈兪、腎兪、志室、大腸兪、

中脘、関元、天枢、三里(手足)、百会。

経過、以上の治療を週一のペースで続けた。尚、家でお腹と手足のお灸を毎日

続けるよう指示した。三ヵ月経っても何の変化もなかった。こちらは

開業したばかりで焦っていたが、○川さんの強い意志で通い続けた。

自宅でのお灸も頑張って続けていた。そうすると三ヵ月を過ぎた頃に、

それまでお嫁さんと一緒に来ていた○川さんが一人でひょっこりと

鍼灸院にやって来た。突然一人で歩ける様になった、というのである。

それ以降、週一のペースで六年間通い続けてほぼ完治した。

定期的に病院にも通院していたが、いつまでたっても一人で病院に行く

ものだから、先生が目を丸くしていた、と嬉しそうに話してくれました。

その後街で散歩している○川さんを見かけていた。それはほぼ十年続い

た。90歳を目前に亡くなったことをお嫁さんがわざわざ知らせに来て

くれました。

 

○崎○次(男) 昭和48年生(23歳)

初診1996・3・22(金)

主訴、統合失調症。発病のきっかけは大学受験失敗(二浪)と失恋が原因らしい。不眠症から始まり二年前に一度半年間入院した。退院後は服薬しながら月二回の通院をしているが回復の兆しはない。

鍼灸院に来るきっかけは、祖父(佐賀在住)が鍼灸師であり、これは

もう鍼灸で治すしかない、との助言を受け母親と一緒に来院した。

診断、肺と肝と脾に反応が見られた。特に脾の反応が著明であった。『素問』

陽明脈解篇第30の記述に見られる様に、陽明胃経の病による精神異常の

記述は、現代の統合失調症と同じ症状である。まさに体にその反応が

出ているわけである。

治療、脾経と胃経を使った配穴を中心として組み立てた。

経過、以上の治療を週一のペースで続けた。最初治療院に入って来る時も荒々しく、靴も脱いだ通りに配置され、治療中も一方的にしゃべりっぱなしであった。話の内容は音楽と野球カードの話のみ。

三ヵ月程した時に突然、靴を脱いで揃える様になった。そして会話もお互いの話が通じる様になった。不眠が段々解消され、なるべく薬に頼らない様に話をした。そうして一年半程した頃、母親が通院する様になった。一年前に交通事故で足にケガをして、近くの整形や接骨院で治療しているがよくならないというのである。治療しながら子供のことを話ながら、母親とも子供の病気について共有することが出来た。それから

統合失調症の症状はどんどん良くなり、ついには二年半で薬が完全に

抜けた。それから半年後治療を終了した。完治である。

その後彼はIT関連の会社に就職。15年間再発はしていない。

治療終了後、母親が挨拶にきた。同じ病気を持った子供を通じて知り合

った友人の話や精神病院に通っている同じ人たちを見ても、自分の子供

の回復は奇跡的である、というのである。正直、こんなに良くなるとは

思っていなかった、と話された。いやいや私もこんなに良くなるとは

思いませんでしたと言って二人で笑った。

 

 

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