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母の思い出
長いあいだ御ぶさたしています。
月日の立つのも早やいもんですね。冬も万もなく、さようならでせう。
こちらは毎日の様に、雪(ゆき)がちらちらと下りて来ます。
花の寫真が出来ましたのでお目にかけます。
髙い方の花は、とっくに去りましたが、白い花はまだ眞白です。
そろそろ年をとったと見えて、少々さびしくなって来ました。寫真がきれいに、
うつれてますので、お目にかけます。
ほんとうにありがとうございました。
大事にしております。水もちょこちょこと、かけてます。白い方の花は長いきですね。
はっぱも大きくなって来ました。私もおかげさまで、どうにか元気になって来ました。
皆さんに、御しんぱいかけてありがたうございました。申しわけもありません。
どうにか手もふるえなくなって来ました。
でも中々手紙が、かけませんでした。
大分頭もパーになった見たいです。
これより以上は、なほらないのでせうね。ねころんでゐると、ぼけるからと、近所の人も、
しんぱいしてくれますので、なるべくよこにならないと思ひますが、なんにもする事がないので、
遂(つい)よこになって、ねておきたら、家の中で、一、二、一、二、と歩いてゐます。雪も毎日、チラチラとふってゐますので余り外出はしてゐません。近所の人もよこにならず、あそびに来いとよんで呉れますので、時々近所にあそびに出かけますが、雪のふる時は、家の中でねころんで、テレビを見てゐます。テレビも、おもしろいのがなければ遂(つい)にねてしまひます。
すっかりろう人になってしまひました。
もとえは、もどらないのでせう。
なる様にしかなりませんね。
あきらめて、のんきに、すごすしかありませんね。
まあなる様にしかなりませんっものね。
では、らんぴつで、ごめんなさい
福ちゃんへ 母より